美味求真

2014年12月16日

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門前仲町の深川不動様の参道にある
角打ちもやっているという

「折原酒店」

が気になっていて、遠路はるばる
出かけてみたのですが、角打ちに
最適な酒屋だと分かっただけでなく
お隣さんの大正七年(1918)創業の

佃煮屋「筑定」

も知ることが出来ました

添加物一切なしの手作り佃煮をさまざま
家族経営でこじんまりと販売しています

女将さんが味見はどうですかと、
創業当初からある「五輪煮」を
出してくれました

椎茸、昆布、あさりと野菜を一緒に
煮込んだこの店のオリジナル商品で
ほんのり甘いですがご飯をお代わりが
進みそうな味わいです!

名前が五輪煮だから2020年開催の
東京オリンピックにちなんで多くの人に
楽しんでもらうという企画も
あるかも知れませんが、これは下衆の考え
やはり密かに知る人ぞ知る人で、知る人が
店を訪ねていただく商品である方が
真っ当で息の長い商品となると思います

酒飲みの功徳(?)でいい店に出会えました
私は人様へのちょっとしたお土産に
使いたいと思っています


今日も一日
みんな
笑って
微笑んで


2014年12月15日

e21cbf92.jpg以前、
砂町銀座商店街を散歩したときの
ブログに少しだけ紹介した

鶏肉と惣菜の店「鳥平」

のことを再度書いてみたいと思います

最近、
この店を再訪する機会があったのですが
そこで目撃することになった
親父さんの客への対応についてです

焼き鳥を買いにきていた女性が
食べ終わった焼だんごの串を
持っているのを見つけるやいなや
他にいるお客さんの注文を聞く前に

「危ないからね~」

と言い終わるか終わらぬかのうちに
さっと串を女性から取り上げて奥まで
さっと駆け足で捨ててきたのです

機敏な動きに、待っている他のお客さんが
何も気にしていないのがわかりましたし、
考えることなく瞬時にこのようなことが
出来る親父さんに私は驚き、かつ
大変感心してしまいました

なじみでご贔屓らしい男性客に訊ねると

「 砂銀の焼鳥屋で一番いい店、
  他の店のは食えないよ 」

と両手をあげて絶賛していましたが、
それを聞いても親父さんは

「(人にはそれぞれ)好みがありますからね~」

と穏やかに微笑みながら謙虚な態度を
くずしません

どんな商売をしていても
どんな仕事をしていても、
何気ない所作や言葉遣いや客対応に
人の本当の姿や心は伝わるものだと
痛感し、親父さんのようでありたいと
切に願った次第です

そういえば、前回に会ったとき同様に
親父さんは仏様のような柔和な顔で
それで私はこの店に立ち寄ったことを
思い出しました


今日も一日
みんな
笑って
微笑んで


2014年12月11日

89f0b712.jpgもう何十年と通い続けている居酒屋が
さんまの目黒にあります

毎年、師走の気ぜわしい時期になると
年末のご挨拶に行かねばという勝手な
理由をつけては必ず出かけます

今年も“ご挨拶”を兼ねて暖簾をくぐって
飲んで食べて愉快に馬鹿話をして
盛り上がってきました

客は好きなときに来るだけで能天気な
ものだけれど店はそうはいかない
水商売は本当に大変なのにこの店は
いつも明るく愛嬌たっぷりで心から
歓迎してくれるから居心地がいいのです

女将さんと一緒にもう何年も調理場に
立つ長男の嫁が今ではすっかり立派な
若女将に成長したのも嬉しい限り

今回は酒好きな女将さんと若女将と
ただ一人下戸の息子さんの話を聞いて
面白かった

三人で食事に行っても女将さん若女将が
美味そうに酒を飲んでいるのがどうも
気に入らない息子、それを見ながら女将さんが

「 この息子(こ)、お酒飲めないのよ 」

と店の人に今までは釈明していたそうです

しかし最近になって、
男として複雑な気持ちになった息子が
不機嫌になっていたのにハタと気づいた
女将さん、

「 この息子(こ)は、帰りに
運転してもらうからお酒飲めないのよ 」

と言い訳して酒を飲むようにしたそうです

これが功を奏したのか息子さんも
二人の酒豪に辛抱強く機嫌よく
付き合ってくれるようになったそうです

“丸い卵も切り様で四角”

めでたし!めでたし!


今日も一日
みんな
笑って
微笑んで

追記:

宅配便の仕事をしている息子さんを
私も見かけたことがありますが
亡くなった、店の花板のご主人と
雰囲気もそっくりで下戸なのところも同じ!

女将さん、若女将の二代続いての
“天下”が続きそうです


2014年12月10日

7472a0e5.jpg「自未得先度他」(じみとくせんどた)


道元禅師の言葉です


他(ひと)に先んじて自らが悟りを得
救われる前に、他(ひと)が救われるよう
浄土に度(わた)れるように行動せよ

というような意味だろうと思います

何かと言えば人を蹴散らし押しのけて
我先に我先にと自分のことばかりを
考えてしまう私のような凡愚への
戒めの言葉でもあります

私達がときに耳にする

“お先にどうぞ”

英語で言えば“After you”

フランス語の“Apres vous”(アプレヴ)

などという言葉には話している本人さえ
気づかない優しい思い深い願いが
ひそんでいまます

これらの言葉を聴くたびに私は
道元禅師の言葉を思い出して
背筋を伸ばします


今日も一日
みんな
笑って
微笑んで

蛇足:

八百屋の店先に
山のようにつまれた大根たち

見方によれば、
この大根たちもわが身を捨てて、私達に
“どうぞお先に(食べてお幸せに)”
と声をかけてくれているようにも思えます


2014年12月08日

94719dde.jpg「 また、舎利弗よ
  かの佛に無量無辺の
  声聞弟子あり
  みな、阿羅漢にして、これ算数の
  よく知る所にあらず
  もろもろの菩薩衆も、また、
  かくのごとし
  舎利弗よ、かの佛の国土には、
  かくのごときの功徳荘厳を成就せり 」

          (『阿弥陀経』より)



縁あって杉並区下高井戸にある
浄土宗の本應寺という寺を訪ねて
随譽品愚上人による仏典講座
(阿弥陀経を味わう)を聴いて参りました

じっくり一時間をかけての講座は
ご自身の体験も語りながら経の一字一句に
込められた意味や功徳を懇切丁寧に
説かれる内容で感銘を覚えました

今回は“声聞”の功徳について掘り下げた
話をなさっていて一つ一つの言葉が
珠玉のように私に伝わってきました

たとえば

「 自分がする話で自分自身が救われ、
  自分の魂が成仏するようでなければ 」

という言葉です

“声聞”として全身を耳にして人の話を
聞くだけでなく、自分が話すときには
自分自分も“声聞”の一人になっています

自分自身が救われる内容である語りには
尋常でない覚悟が要るということです
沈黙を破り語るということはそれほどの
覚悟がなければならないということです

大変有り難い話を聞かせていただきました


今日12月8日といえば、
殆ど知られていないと思いますが、

成道会(じょうどうえ)

お釈迦様が悟りを開いたことを祝う日です

そういう訳で今日は少しおもむきを変えた
記事を載せてみました

合掌


今日も一日
みんな
笑って
微笑んで

追記:

上人の講義をもとに弟子の俊静尼が本にした

「『南無阿弥陀仏』にこめられた
  仏様の四十八の願いと約束」

と、また上人のもう一人の弟子静和尼が
丹精込めてつくられたリンゴジャムを
分けていただきました

この二つも、私は“声聞”の一人として
心と身体でじっくり味わい頂戴します