笑門来福
2014年11月20日

すぐに師走、正月になりやすね~ 」
「 そうさなあ
物入りの年末年始もやってくるしな~ 」
「 あっしなんか、年末年始でなくたって
財布の中は年がら年中ずっ~と氷河期で
新年早々の初詣のお賽銭も情けねえが
小銭しか出せねえんです 」
「 そうか、
千円札、一万円札は出せねえのか?
だがな、小銭の方が神さんはよ~く
願い事を聞いてくれる塩梅になってる
だから安心しろい 」
「 そうですか、兄貴、
やっぱり神さんは貧乏人の味方って
訳なんでやすかね~?」
「 いやなに、
千円札、万札じゃ、“こうか”がねえんだ 」
「……」
今日も一日


みんな

笑って

微笑んで

2014年11月09日


「 髪は烏の濡れ羽色
三国一の富士額
眉は三夜の三日月眉毛
鼻筋通って
目元ぱっちり
口元純情でおちょぼ口 」
毎月出かける落語会の帰り道に
会場近くにある公園を少しばかり
散歩するのが私の楽しみのひとつです
今回は紅(黄)葉した
南京櫨(ナンキンハゼ)
を見てあまりの美しさにしばし唖然として
しまいました
案内板には
「 櫨の木(ハゼノキ)の代わりに
蝋(ろう)をとる材料として使われる 」
と説明書きがありましたが蝋など取れずとも
眺めているだけで惚れ惚れする紅葉です
今回の落語会のトリで入船亭扇好が
かけていた演題が「お若伊之助」
この噺に登場してくる評判の美人娘
お若の美しさもさることながら
紅葉樹のなかではナンキンハゼも
なかなかの美人ではなかろうかと
私は確信してしまいました!
今日も一日

みんな

笑って

微笑んで

追記:
「お若伊之助」は恋仲になった
若いお若と伊之助が仲を割かれ
まんまと伊之助に化けた狸がお若に。。。
という展開の噺です
2014年11月06日

「ちりとてちん」(2007年)
がすっかり気に入った私はヒマを見つけては
DVDに収めた番組を最初から見直しては
何度も笑わせてもらっています
脚本家の藤本有紀さんは相当の落語通で
しかも落語の懐の深さを存分にテレビ小説に
取り入れて私達を笑わせそして泣かせてくれます
さて、
手持ち無沙汰な日が続いていたので
最近一挙に随分見なおして過ごしました
第47回目放送分で落語家に弟子入りした
主人公の和田喜代美の父正典が
彼女の兄弟子に若狭塗り箸を贈るときに、
正典の師匠でもあった祖父正太郎が喜代美に
残した言葉を紹介する場面があります
「 人間も箸と同(おんな)じや、
研いで出てくるのは塗り重ねたもんだけや、
一生懸命生きてさえおったら、
悩んだことも、落ち込んだことも、
綺麗な模様になって出てくる、
お前がなりたい者(もん)になれる 」
祖父正太郎役の故米倉斉加年が
なんとも味わい深い福井訛りで語る
このくだりは繰り返し出てきますが
私のお気入りの台詞でもあります
どんなに恥ずかしい失敗だったとしても
どんなにつまらい失敗だったとしても
経験したすべてが本人の受け止め方次第で
いつかは“綺麗な模様”になって
輝き出すという素朴で健康な考えに
共感を覚えるからであります
今日も一日

みんな

笑って

微笑んで

2014年10月29日

「貞女は屏風に見(まみ)えず」
「 直(じか)に冠を被(かぶ)らず 」
「 おでんに靴を履かず 」
古今亭志ん生絶頂期の「風呂敷」(1955年)を
久しぶりに聴きなおしました
無駄の全くない台詞、練りに練られたクスグリ
飄々とした語り口、落語ってやっぱり
志ん生だよなあとほのぼのと笑い
登場人物の顔まで見えて最後は大笑いして
しまいました
志ん生はどのようにしてくすぐりを
考え出すのだろうかと私は気になります
いま、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」
が放映されていますが志ん生を真似て
私もひとつ作ってみました
「 杉樽はオークにおよばざるがごとし 」
ウィスキーは杉樽ではなくてオーク樽で
作ったものでなきゃという意味です
ああ、やっぱり私には難しすぎます
今日も一日

みんな

笑って

微笑んで

追記:
釈迦に説法ですが、志ん生がくすぐりに
使っていたもとのことわざは以下の通りです
「 女三界(さんがい)に家なし 」
「 貞女は両夫(りょうふ)に見(まみ)えず 」
「 李下(りか)に冠を正さず 」
「 瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず 」
2014年10月25日

何やら深刻な話をしています
二人のこんなやりとりが聞こえてきました
「 私って、可愛くないよね~」
「 そんなことないよ! 」
「 ウソ、私、ちっとも可愛くないもん 」
「 お前、すごっく可愛いよ!」
「 ウソウソウソ、そんなのウソよ! 」
「 ウソじゃないさ、もしも世界中の人が
お前が可愛くないと思っていても
俺はお前が一番可愛いと思ってるよ! 」
「 私、その逆がいい~」
若手落語家が枕に使っていた小咄を
私なりに少し編集し直してみました
地味な内容ですが私は気に入りました
男性の思いやりと優しさが一方にあり、
他方には女性の本音と身勝手さがあって、
この微妙なズレがなんとも言えない
可笑しさを醸し出しています
若手落語家は本題では芥川竜之介の小説
『藪の中』
を現代風に姉弟の噺に書き換えて演じていました
姉と姉婿の家を訪問する弟と弟の恋人が
互いに交わす会話から構成されているのですが
ひとつひとつの会話、あるいは出来事が
どう意図されていたのか、それが
どのようにして正反対に曲解されて
不信不満をつのらせていくのかが
織り込まれていてシュールな笑いを
作り上げています
場面の切り替えや仕草など演じ方に
改善すべき点は沢山ありますが
若手には新作にもどんどん挑戦して
欲しいものです
今日も一日

みんな

笑って

微笑んで
