2014年09月23日

596fd9ef.jpg「 秋の蝿蝿たたき皆破れたり
  病室や窓あたたかに秋の蝿
    草木(そうもく)国土悉皆成仏(しっかいじょうぶつ)
  糸瓜さへ仏になるぞ後るるな
  成仏や夕顔の顔へちまの屁 」
     (『仰臥漫録』 正岡子規 65~66頁 )


私の鞄の中にはいつも何冊かの本があります

正岡子規の

『仰臥漫録』(角川ソフィア文庫)

は最近ずっと携えている本のひとつ
子規が描いた絵も色刷りで掲載されています


お彼岸だからこの時期の子規の文章を
拾い読みしようかとひもといてみたら
結局全編を読む返すことになってしまいました

『病牀六尺』も名著ですが『仰臥漫録』には
丸裸になった子規の姿が見えてきます

想像を絶する激痛に号泣する子規あり、
猛烈な大食漢の子規あり、
動けぬ床からの子規の自然観察あり、
絵心ある子規の写生あり、
かなわぬ自死への衝動あり、

ここには迫りくる死を前にした子規の
悲痛な叫びと生とは一体何なのかへの
のっぴきならぬ問いかけがあります

彼岸の入りの時期(9月19日)に34歳で
他界した子規の姿を思い浮かべながら
今年の彼岸は人生を見つめなおし
省みる機会となりました

「 お萩くばる彼岸の使行き逢ひぬ
梨腹も牡丹餅腹も彼岸かな
餅の名や秋の彼岸は萩にこそ
西へまはる秋の日影や糸瓜棚 」
    ( 同書 73頁より )

南無(なーむ)


今日も一日
みんな
笑って
微笑んで


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