2014年05月25日
「 花一輪
宇宙(そら)にひろがる
微笑(え)み笑い 」
(定張豚)
何でもないどこにでもありそうな焼肉屋が
ある私鉄沿線の駅の近くにあります
毎月一回
定休日に座敷に赤い毛氈を敷いて高座を仕立て
若手噺家たちに芸を披露し精進する場を提供し
地元の落語好きにも大いに喜んでもらおうと
もう三十年近くも寄席を開き続けている店です
縁あってこの寄席に通うようになった私ですが
店のご夫妻がとんでもなく素晴らしい方なんです
大きな声と満面の笑みで出迎え見送りするご主人
会場設定と注文の酒運びに時間まで奔走する女将さん
初めての客には特に懇切丁寧に案内をして
酒を飲まない客にはお茶をすすめ注いでまわり
客全員が気分よく気持ちよく落語を楽しめるよう
いっときも落ち着くことなくこまねずみのよう
いつ出かけても座卓にはその日庭から摘んできた
小さな花が一輪、二輪と花瓶に入れられています
このご夫妻のおもてなしのおかげで高座には
和気藹々(わきあいあい)の気で満たされて
寄席の笑いはどこまでも広がっていきます
牛乳を飲む人よりも、牛乳を運ぶ人の方が健康だ
とよく言いますが、笑いの場を黙々と作って下さる
ご夫妻の顔は誰よりも慈(やさ)しく輝いています
いつも本当にありがとう
今日も一日
みんな
笑って
微笑んで